人情味あるほんわかとした書き出しから一転、衝撃的なラストだった。
ストーカーがどういうものか、わかる作品だと思う。
ストーカーもそうだが、ハラスメントやいじめがあると、「被害者にも原因がある」と言う人がいる。私も瞬時に考えることは被害者になってしまった理由だ。だけど、それは口にしないようにしている。というのは、加害者を擁護する発言になりえるからだ。悪いのは加害者だと思うので、意識して言わないようにしている。
【登場人物の人物評】
・松原
一人称しかない。
他人に対する観察力・洞察力はあるが、自分に関わることは都合が良いようにいがむ。深読みすると、幼少期のころから自分を守るためにずうっとそうしてきたんだと思う。松原が語る家族の話はどこまでが事実でどこからが想像なのか。想像は洞察なのか妄想なのか。
生きている限り、自分が主人公の物語を延々と続けていくのだろう。
・さくら
お嬢様というわけではないが、家族に愛されて大事に育ったという意味で箱入り娘。
死んでもストーカーされる気の毒さ、いたたまれない。
・池田、志鷹
よくわからない。あまりこういう人たちはいないと思う。
・住吉
松原と腐れ縁な理由が不明。
松原のやばさを本能で見抜いていて、つかず離れずで付き合っていたのか?
・木崎、マッサージ屋の夫婦
よくいる、普通の人たちだと思う。
【メモ】
・ストーカーは一見、正論を語る
ストーカーは、正論を語ります。自分がどれだけ正しくて、相手がどれだけ悪いか、はっきりと話せます。恋愛において、優先されるのは感情であり、正論が正しいわけではないと、彼らや彼女たちにはわかりません。わかっていても、分からないフリをします。間違っていると指摘されると、彼らや彼女たちは怒ります。警告されることによって怒りが強くなります。(後略)
本当にそう思う。本人は正しいと思っている、または話すことで自分を正当化しようとするからか、流暢に次から次へと正論が展開される。違和感は感じても、「ここが、こうおかしい!」と指摘するのが難しい。まさに、AIが間違っている時のような感じ。
ところで、彼らや彼女たちは一体、誰に何を怒っているんだろう。自分の望みがかなわないことへの怒り?
・努力に対して、運が味方する
相手に会い、自分の怒りをぶつけるために、ストーカーは努力します。警察よりも被害者よりも、努力します。運は平等に、努力する者の見方をします。自分が正しいと信じ、周りに止められても、無視し続けます。そのうちに、彼の周りに、味方は一人もいなくなります。(中略)
運だけが彼に味方します。(中略)
被害者は、加害者よりも努力しないといけないという話。
そう、ストーカー事件の大変さはまさにこれだと思う。被害者もその周囲の人や協力者も、加害者の一挙一動にばかりにかまっていられない。他にもやらなければいけないことがたくさんある、というのがまっとうな人間だ。一方で加害者はストーカー行為が日々の最優先事項になっている。それを、努力と言って努力に対して運が味方するというのか。
残酷だがその通りだと思う。でも、標的になったらどうしたらいいのか。。。
