都内有数の私立進学校に通う男の子たちの物語。詮索したり無理に知ろうとしない男子特有のやさしさが随所に描かれているのがよかった。
登場人物が、大人も子供もみな善人で、最後はハッピーエンドなので読後が爽快。
登場人物の男の子たちが通う学校は架空の名前になっているけど、開成?でも、登場人物たちは開成っぽくない。他に出てくる学校や塾の名称、地名は実在するので、土地勘がある人は読みやすいと思う。
【メモ(心に残った記述と感想 など)】
「こんなに部活を頑張ってるなら、続けさせてあげようよ。この子、野球が大好きなんだから。夢中になれることに出会えるって、すごく素敵じゃない」
→正論だけど、有名進学校の親でこの台詞を心から言える親は少ないと思う。
・カーリング育児
「恵理香のカーリング育児が、英信をだめにしている、おれはそう思う」
「なによ、カーリング育児って」
「ストーンを滑りやすくするために、ブラシで氷上を磨くような育児ってことだ」
「ストーンが英信ってこと?」
「そうだ。英信に苦労させないように、君がせっせせっせと氷の凹凸をブラシでならして、進みやすい道を作っているんだ。そんなことをしていたら、英信は頑張れない人間になる。楽な道ばかり歩いていたら、弱くてずるい人間になる」
→適度な親の導き、アドバイスは有効だと思う。必要なタイミングや量は子供によって違うので難しい。
・世襲制のこだわり
「いいか英信、組織はトップが変わると経営方針が変わる。先の経営者の理念などじきに忘れられ、やがてチラシのごとく捨て去られる。」
→世襲制にして先代からの意思を踏襲するというのは、こういう気持ちが含まれているのかと思った。
・ツァガルニック効果
「集中力ってどうやったら出る?おれ、勉強してても途中ですぐ他のことしちゃうんだ。(中略)
「だったらトイレに行く時は、問題を解いている途中で行け」
「ツァガルニック効果だ、多くの人間は達成できた事柄よりも、途中で挫折したり中断したことの方がより記憶に残る。つまり欲求があるうちは緊張感が続くけれど、達成した時点で解消されてしまうんだ。心理学で実証されてる」
「へぇ・・・・・。じゃぁトイレ休憩をとるとしたら、問題の途中で行けばいいのか」
「そうだ。そうすれば用を足している最中も問題の続きが気になっているし、戻ったらすぐにとりかかれる」
・集中力が高まる漢方薬
黄連解毒湯?
「人生のある時期に感じる時間の長さは、年齢の逆数に比例するという考えなんだ」(中略)
「人間の体感で考えた場合、およそ19歳で人生の半分が終わっているという発想なんだよ」(中略)
「年を取るにつれて、自分の人生における一年間の比率が小さくなるということだ。5歳の時に感じた一年間は、人生の5分の1。10歳の時に感じる一年間は、10分の1。つまり10歳の時の1年は5歳の時の1年に比べると、2倍速く過ぎたように感じる」(中略)
この理念に基づいて人生を80年として算出すると、19歳で人生の半分が終わるのだ、と。
こちらの解説がわかりやすい。
・好きな物
不思議なもので、人にはなぜか生まれながらに好きなものが決まっている。興味と言い換えてもいい。物事の多くを学び知り得た人ほど、「好き」は明確になってくるもので、岩を削って石仏を作り上げるように生きていくうえでの要が見えてくる。
ある意味そうかも。たまに、全能すぎて迷っている人もいたけど(笑)。
・質は経験豊富な人にしかわからない、ということは、、、
「私は量より質という言葉が好きじゃないんだ。なにが良質かなんて、量をこなした者にしか判断はできないだろう。量があっての質だと考えている」
・大学へ行く意味
「学んでなにかを与えられる人間になる。それが大学へ行く意味だ。」
・勉強時間
旧帝大に合格するには高校の3年間で4000時間の勉強量が必要らしい。私立の雄、早稲田、慶応は科目数が減るので3650時間を確保するのが一般的だそうだ。
