伊良部シリーズの4作目。
前3作に比べてパンチはないけれど、そこは伊良部なのでまぁまぁ面白い。
これまでの作品と違ってより身近な話題がとりあげられているので、新鮮味に欠けるのかも。
主人公の伊良部を見ていて思うのは、人間は忙しすぎるとダメだということ。彼はいわゆるボンボンでお金の心配はいらない身分。時間に追われることなく、自由気ままな生活をしている。それから、金持ち特有の身勝手さ(小説では精神年齢の低さ、非常識さとして著されている)、医者特有の人生に対する達観のようなものがある。
といっても、ちゃんと医学部を卒業して医学博士の肩書を持つし、実家の病院とはいえ精神科医として時間から時間きちんと働いている。患者の治療には熱心で成果をあげている。
フィクション小説とはいえ、伊良部のような人は羨ましいと思う。