「誘拐された他人の子の身代金を払えますか?払ったら自身は破産です。」
という作品紹介にひかれて借りたのですが、そこは刑事物。誘拐から身代金要求・引き渡しまでは短時間なので、葛藤したりもめたりというシーンの描写はあっさりしていました。
葛藤を迫られる主人公キングは、貧しい家庭から這い上がった人です。生きていくうえで必要なことは教育ではなく社会経験から学んだ人です。だから、非常に現実的で冷淡なところがあります。食うか食われるかですから(日本の大企業の出世戦線でもいろいろあります)、キングを責めることはできません。
あとは、誘拐された男の子が賢明。
犯人グループの最後の展開に、「あれ、そうなるの?」と思いました。
最後まで楽しく読めました。
ちなみにこの本は、87分署シリーズという有名な刑事物の10巻で、日本でも過去に映画やドラマの原作になったことがあるそうです(黒澤明 監督「天国と地獄」、「太陽にほえろ」 など)。
海外の小説は読みにくいものもありますが、こちらの作品は読みやすかったです(2024年に出版された新訳本だったからかも)。