Beanの日記

徒然日記

診療室にきた赤ずきん 大平健 ★★★★★

診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界 (新潮文庫)

診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界 (新潮文庫)

心療内科を開業している医師が書いた本。この手の本にしてはめずらしく、エッセイのように軽い感じで読める。診療時のエピソードを交えながら書かれているが、本当に大変な職業だなぁと思う。医学の中にもいろいろな専門分野があるが、一番、きつい分野だと思う。
ひとつ、これは会社なんぞで部下を持っている人や、教師、子育てをしている人にもなにかのヒントになるのではないかと思うフレーズがあったので抜粋する。

「本当の問題」が発見できれば、たいていの患者は自分で解決することができます。それも、医者と話しているうちに「自分でみつけた!」と思うのが大切です。前章で述べた、「人に話しているうちにひとりでわかっちゃった」という日常的な相談と同じ事になるからです。こういう場合、患者は医者に感謝しません。自分の手柄ですからね。人によっては「話しを聞いてくれてありがとう」ぐらいのことは言います。医者としては物足りない気がしますが、仕方がありません。
もちろん、いつも理想的にことが運ぶとは限りません。話の進め方がまずかったために、患者が医者に「本当の問題」を見つけてもらったと感じてしまうこともあります。こういう場合には医者は感謝されます。気分はいいのですが、すぐに困ったことが生じます。患者が解決の仕方までも医者に教わろうとするのです。医者のおかげと思ってくれなくても、自分で発見したと思い、自分で解決しようとしてくれるほうが、やはり、いいと私は考えます。

つまり、なんですな、「私が今あるのは両親のおかげ」なんて思っている子供の親よりは、自分ひとりで大きくなったような顔をしている子供の親のほうが上ってことかな?