Beanの日記

徒然日記

薬指の標本 小川洋子

他に『六角形の小部屋』を収録。
薬指の標本』:楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡、なんでも標本にする標本屋。もし、こういう標本屋が実在したらビジネスになると思ったし、私も利用したいと思った。
標本屋に関わる女性が次々と消えてなくなってしまうミステリアスが、繊細で静かな文体で綴られている美しい作品だと思った。他の人のコメントで、変質者的な男女関係をコメントしているものもある。否定はしないが、感想に書いたとおり、私は美しい作品だと思う。
『六角形の小部屋』:これも不思議な話。六角形の小部屋とは、いわゆる懺悔(ざんげ)部屋。部屋の中で気が済むまで懺悔する、懺悔の内容は誰も聞いていない、ただ、一方的に話すだけ。自分が正視できずにいる事実や現実をこの部屋で懺悔することで、心の負担から開放される仕組み。現代人の複雑な孤独さを感じる作品。