Beanの日記

徒然日記

最後の喫煙者―自選ドタバタ傑作集〈1〉筒井康隆

書くまでもなく、独特の世界。好き・嫌いは分かれるところ。私はどちらかといえば筒井さんの作品はあまり好きではなく、この作品も例外ではない。しかし、好き・嫌いは別としてよく書けていると思う。
例えば、「最後の喫煙者」は、熱しやすく冷めやすい人間の性質を時事問題になぞらえて書いた作品である。人は熱し過ぎると途中で手段が目的になる傾向がある。そのあたりが皮肉たっぷりに書かれた作品である。
「問題外科」は、世襲制が多く閉鎖的な医者の世界に対する不安を、ブラックユーモアをまじえたストーリにのせて書いた作品である。
本書はこの他に7作品が収められている。どの作品も一見、ちょっとした思いつきを大袈裟に書いているように見える。しかし、よく考えると、人間や社会の本質がざくっと切り出されている。好き・嫌いはおいておいて、筒井さんはすごい作家だと思う。