Beanの日記

徒然日記

オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤だが、気づくと江戸以来外界から遮断されている島、荻島にいた。物語はそこから始まる。現実的な部分とファンタジーな部分がうまく交差しており、楽しく読めた。美しい荻島の風景や、人語を操るカカシの声、風貌、立っている姿を感じることができた。頭の中に浮かぶシーンの片隅に自分がいるように感じられる。
読後は急に現実の世界に引き戻された。そして、物語をとおして登場人物に変化(成長)を感じられないことに気づいた。それがとても残念だ。
筆者が同年代という妙な親近感も手伝い、私の中では筆者の評価は高く、機会があれば他の作品も読んでみたいと思った。また、まだ若い作者のこれからの作品にも期待する。