- 作者: 江戸川乱歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1960/12/27
- メディア: 文庫
- 購入: 16人 クリック: 89回
- この商品を含むブログ (138件) を見る
この本を読んで、乱歩のイメージが大きく変わった。これが乱歩ワールドかぁ・・・などと生意気なことを考えてしまった(笑)。
収録作品と簡単な感想は次のとおり。
1.二銭銅貨
しょっぱなの作品。やや冗長的な印象をうけた。
2.二癈人
自分では気づかないうちに、人の踏み台にされたり利用されたりしていることはある。人間とは嫌な生き物だと思う。
3.D坂の殺人事件
古本屋の美人妻殺人事件。明智小五郎が登場して事件のいきさつは解決する。なんだかちょっと奇妙な話。
4.心理試験
主人公が自分をかいかぶっているところがあり鼻につく。明智小五郎が登場して、最後に主人公をぎゃふんといわす。「よかった、よかった」と思う。
5.赤い部屋
心が寒くなるざんげ話が延々と続く。最後は読んでからのお楽しみ!
6.屋根裏の散歩者
本当にこんな理由で殺人を犯したら、世の中大騒ぎだ。最後に明智小五郎が犯人に芝居をうって犯行を白状させるのだが、そのやり方が鼻につく。というのも、観念して犯行を告白した犯人に向かって明智小五郎がいった言葉はこうである。
「僕は決して君の事を警察へ訴えなぞしないよ。ただね、僕の判断が当たっているかどうか、それが確かめたかったのだ。君も知っている通り、僕の興味はただ『真実』を知るという点にあるので、それ以上のことはどうでもいいのだ。・・・後略」
なに、その言い方!嫌な奴!。
7.人間椅子
自分が作成した椅子の中にもぐりこみ、椅子の中から人の生活を垣間見ていた椅子職人の手記?!気味が悪い話。最後は読んでからのお楽しみ!
8.鏡地獄
これもまた気味が悪い話。しかし、『鏡おたく』は天才かもしれない。
9.芋虫
いろんな意味で、かなり刺激が強い作品。話を読みきった後、いろいろなことを考えさせられる。中高生にはむかない。