恋文 連城三紀彦

- 作者: 連城三紀彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/08
- メディア: 文庫
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いきなり出だしから、危ない発言。「おじさん、私の母さんのこと愛してたんでしょう?」
ヒャァー。
この発言をしたのは、叔父さんの姪孫(まためい)。話を読み進めていくと、どうしておじさんがこんなことを言われたのか、そして事の真相はどうだったのかということがわかる。そしてラストは、「おじさん、私の母さんのこと愛してたんでしょう?だったら・・・」となる。「だったら・・・」の・・・の部分は読んでからのお楽しみ。
でも、私としては疑問が残る。叔父さんは独身の強みで、かわいい姪孫がのぞむのであればと一肌脱ぐのはいいとして、姪孫は本当にそれでいいんだろうか?叔父さんも私と同じ事を考えているらしく、姪孫に、「お前の出した決断に従うから、よく考えなさい」と言って最後しめくくる。私のおつむでは、姪孫がどういう結論をだすのか、推しはかねる。涙度0。*1
【総論】
私の中で、「泣きたくなったら連城三紀彦さんの作品を読め」という格言ができた。気づいたら、じわぁ・・・としてきてさめざめと泣くという感じだ。でも、今回はじめて連城三紀彦酸の作品を読んだので、この格言は間違っているかも(^^;
私は涙もろいほうなので、すぐに泣いてしまう。涙度4の状態になると、半分ぐらいの確率で、作品のことは忘れて泣くことに専念してしまう。泣くことに専念した後は、たいていの場合、きりのいいところまでを淡々と読んで、読書をやめにする。泣くことに専念した時点で、読書の世界がそこで終わってしまっているからだ。
「恋文」に収録されていた作品は、涙度4を越えるものはない。作品を読みながら静かに泣ける。まさに理想的な(?)お涙頂戴作品であった。ストーリーは、どの作品も、非現実的な部分と、こういう話ってありそうだと思う部分の両方を含んでいる。そして、ラストはスパッと終わらない。活字でだからこそ、楽しんで読める作品だと思う。