- 作者: 養老孟司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/04/10
- メディア: 新書
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人間の脳というのは、出来るだけ多くの人と共通の了解事項を広げていくという方向性をもっており、共通了解を追及することが文明の流れである。そうした流れに異議を唱える動きが「個性の尊重云々」の動きである。
脳が徹底して共通性を追及するものだとしたら、「個性」というのはどこにあるのか?
個性というのは親から与えられた天分、持って生まれたものである。だから、後天的に努力して得られるものではないし、発揮しようと思って発揮できるものでもない、隠そうと思って隠せるものでもない。
よく聞かれる「個性を発揮しろ」というのは「求めている個性だけ発揮しなさい、それ以外の個性は隠しなさい」という意味で、決して個性を尊重しているものではない。
第四章:万物流転、情報不変
一般に、情報は日々刻々と変化し続け、それを受け止める人間の方は変化しないと思われているが、これは実はあべこべである。日々変化していくのは私達人間の方で、いつまでたっても変わらないのが情報である。
例)ある人が毎日同じ人から同じインタビューをうけたとする。すると、その人の話す内容はその都度微妙に異なる。これは、昨日と今日でその人が変化しているからである。一方で、話した内容を収めたテープ(情報)の中身は変わらない。
[過去の日記:6月6日]